香りをデザインすること。── STUDIOと協会の役割
私たちTS Aromatique株式会社は、TOMOKO SAITO AROMATIQUE STUDIO(香りのデザイン事業)と、IAPA 一般社団法人プラスアロマ協会(育成事業)の二つで成り立っています。現場で磨いた経験と、そこから生まれる新しい香りの価値観を、学びの仕組みに還流させるための“ふたつの車輪”です。
なぜこの形なのか
STUDIOは、ホテル・オフィス、ブランドや商業施設などの空間で香りをデザインし、「環境を整えるための設計のひとつ」として実装する現場です。ここでの試行錯誤や成功・失敗の知見を協会のカリキュラムに反映し、逆に協会で育った人材がSTUDIOの現場に入ることで体験の質と再現性が高まります。創ることと育てることを巡らせる。どちらか一方ではなく、共に動かして相乗効果を得るための仕組みです。
学びの階段と実務のサポート
IAPAでは、アロマがはじめての方からアロマ調香コーディネーター → アロマ調香スタイリスト® → アロマ調香デザイナー®の三段階で、香りづくりの思考と手を動かす練習を重ねます。さらにインストラクター制度も整備。学びの先に実務で活躍できる出口が必要だと考え、業務用の機材、ビジネスとしての運用方法、関連法規など“現場に向けた準備”もお伝えしています。これは私自身がかつて感じた、「学んだのに実践の機会が乏しく、必要な機材や体制づくりも難しい」というもどかしさから生まれました。インプットをアウトプットで定着させることを、最初から講座のカリキュラムに組み込んでいます。
私たちの柱
アロマ調香デザイン®の考え方「好きな香りをなんとなく混ぜる」のではなく、機能性 × デザイン性を掛け合わせ、目的と文脈に沿って必要な精油を“選び、選定し、設計する”方法論。パーソナル(身につける/暮らし)から空間(ホテル・スパ・オフィス・商環境)まで、一貫した物差しで価値を届けます。
日本の“木”を核にすること檜・杉・黒文字など、土地の記憶を宿す素材を“場の呼吸”として扱います。木は静けさと余白をつくり、建材・光・音と自然に馴染む。パーソナルにも空間にも骨格として考えている香りです。
天然精油への実直なこだわり産地・抽出・季節・ロット差まで含めて向き合い、品質と倫理を前提に据えます。流行ではなく素材を尊重することが、最終的な心地よさと信頼につながると考えています。
香りは目に見えません。見えないからこそ、強く記憶に残る。だから配慮も必要です。誰かにとって心地よいものが、別の誰かには強すぎることがある。私たちは“香りの強さで印象を強くする”のではなく、さまざまな精油を取り囲むストーリーも含め“届き方を整え、香りで心と体を調える”ことで印象に残る香り創りを伝えています。
まずは楽しむ。そして興味を持ったら学ぶ。その上で、目的に向かって必要な香りを選び、組み立てられるアロマ調香デザイナー®がたくさん誕生し、全国各地で活躍してほしい。それが、香りの新しい可能性を広げる大きな力になると信じています。